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「Invisible Osmanthus」大森弘之(後編)

大森弘之さんと林明日美さんのメゾチント二人展も後半に入りました。前半は、メゾチントは知っているけどその工程を知りたいと思ったというMANABU参加のゲストから、純粋にメゾチントがお好きな方が多かったように思います。


さて、今日もお二人に同じ質問を伺った内容をご紹介しましょう。

Ⓒ大森弘之「The shape pf the wind」

ー ご自身の作品、またご自身のアート性についてPRしてください。

私の作品は時代を逆行しています。最先端のテクノロジーを駆使した作品が多く生まれているこの時代に、私は版画の中でも製版に多くの時間を要するメゾチントという技法を選択して作品を作っています。メゾチントはアナログ的で生産性も低く、コストパフォーマンス・タイムパフォーマンスも低いことは否めません。この技法は忍耐力と体力、高い集中力が求められ、メゾチントを扱える作家は限られます。私が好きな作家に渡辺千尋という銅版画家がいます。渡辺千尋は世界最古の銅版画技法・エングレービングを扱います。彼は「やってみたものにしかわからない快感はエロティックでさえあるが、ビュランが研げないものには地獄でもある…。」という言葉を残しました。メゾチントにも同様のことが言えます。メゾチントのビロードのような質感の画面と漆黒の世界を作り出すための工程には、様々な特殊な道具が登場し、それらを使いこなせないことには始まりません。道具を駆使して目立てや描画を経て整った版面、そして刷り上がった作品を見た時のなんとも言えない充実感・満足感はやったものにしか分からないと思います。この技法の虜になってしまった私は、自身の創作のテーマとする「目には見えない力の存在」が、メゾチントを通すことで表現できると実感していますし、これからもメゾチントの可能性を探りながらその魅力の発信にも尽力していきます。メゾチントファンが増えることを願っています。




ー プライベートで今関心のあることは何ですか

人間の心理についてです。最近生活の環境が変わり、出会う人や付き合う人が変わったことで意識するようになったからです。



ー 春夏秋冬、朝昼晩、子供学生大人、どこを切り取っても構いません。ご自身が大好きな時間軸をお教えください。そして理由もお教えください

真夏に降る雨が上がった後。「ペトリコール」と呼ばれる雨の匂いに出会える時間だからです。

雨の匂い・・・脳に見えてくる景色がどなたにもあるかも。



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