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1.港町.heic
Knowing More About 「君とみた世界」& 堀越 克哉 
2025年7月19日(土)から8月10日(日)まで開催される、堀越克哉氏の個展。
定期的に岡山で開催されている「僕の中の風景」とは異なり、「君とみた世界」というタイトルには、
お越しいただく皆さまとともに展示をつくりあげたいという想いが込められています。
開催に先がけて、やさしさあふれるお話を伺いました。個展と併せて、ぜひご覧ください。

岡山での個展「僕の中の風景 vol.15」、お疲れさまでした。こちらの個展は、シリーズとして長く続けられているようですが、いつ頃から始められたのでしょうか?また、シリーズを始めたきっかけについても教えていただけますか?

「僕の中の風景 vol.15」も、無事に終えることができました。このシリーズは2017年ごろから始めたもので、今回で15回目になります。次回のBIOME Kobeでの個展が、個展全体としてはちょうど80回目になる予定です。

作家としての活動は30年近くになりますが、未熟な自分が模索していく中で、自分なりに何か一歩抜け出せたような感覚を得られたタイミングで「僕の中の風景」というタイトルが自然と生まれました。

それ以前は、タイトルをつけずに展示、または「僕のみつけた風景」という別のシリーズとして展開していた時期もあります。

11.朝の空.heic

「僕のみつけた風景」は、「僕の中の風景」とつながりはあるのでしょうか?

僕の作品は、写真のように見たままを描くのではなく、また、他人と同じ場所や物を見ても、自分にしか見えない見え方や感じ方を大切にして描いています。そういう意味で、「僕のみつけた風景」や「僕の中の風景」というタイトルをつけている部分があります。

どちらのタイトルにも、「僕の目線で見た世界」という意味が込められています。

今後も「僕の中の風景」は続けていかれるのでしょうか?

わりと気に入って取り組んでいる個展シリーズですので、今のところ変えるつもりはありません。

2.海の見える風景.heic

「Takaramono for Okurimono 2024」以来の、BIOME Kobeでの個展かと思います。堀越さんの作品を楽しみにされているお客様も多いかと思いますが、今回、個展の開催をご決断された背景について教えていただけますか?

これまでも神戸の南京町で、20年近く個展を続けてきましたが、諸事情あり新たな展示の場を探していたところ、たしかInstagramでBIOME Kobeさんのギャラリーの様子や展示風景を拝見しました。
馴染みのある元町方面ということもあって、一昨年くらいにお伺いし、栗山さんともお話をさせていただきました。とても素敵なギャラリーだなと感じたのを覚えています。

長年神戸で展示をしてきたこともあり、神戸のお客様に向けて、次の展示場所をつくっていきたいという思いがあったなかで、「Takaramono for Okurimono 2024」に参加させていただいたところ、「個展はどうですか?」というお話をいただき、今回の開催につながりました。

今回の個展のタイトル「君とみた世界」について教えてください。

ひとつは、「僕の中の風景」というシリーズでこれまで個展を続けてきたなかで、今回も同じお客様にご覧いただけるかもしれないと思いつつ、BIOME Kobeさんでは初めての個展になりますので、明確に違いを出したいという思いがありました。

もうひとつは、今回は「僕が〜」ではなく、お客様といっしょに世界を楽しめたら、という気持ちがありました。「君」という言葉には、お客様はもちろん、ギャラリーの方や、いろいろな方といっしょに個展をつくっていけたらという思いを込めています。

そういったニュアンスを、タイトルにもたせたつもりです。

「君とみる」でもよかったかもしれないですね。

そうですね。

でも、「みる」って、前向きな印象のある言葉で、なんだかちょっと気恥ずかしくて。僕のキャラとは合わないような気がしました。

アクリル画の作品について、聞かせてください。

アクリル画作品は、実際に見た風景や人物、花といったモチーフから、少し時間的にも物理的にも距離を置いて、イメージを膨らませ、頭の中で再構成しながら描くというスタイルになります。

アイディアの元になるのは、スケッチであったり、スケッチをしたときの記憶、あるいは子どもの頃に見た風景のイメージだったりします。
そこから「この色で描いてみたいな」とか、「海を描いてみようかな」「空をテーマにしてみようかな」といったかたちで発想を広げて、作品にしていく感じです。

アクリル画では、色も形もできる限りシンプルにして、余計なものは削ぎ落としていきます。
そうすると、そこに生まれる「余白」が、観てくださる方の想像を自由に広げるきっかけになるんじゃないかな、と思っているんです。

12.雨の日.heic

Instagramや過去の個展を拝見すると、青が印象的な作品が多く見られます。作品制作にあたり、特に意識されていることがあれば教えてください。

そうですね、昔からよく「色が印象的ですね」と言われることが多いです。特に青や緑を使った作品が多いと思います。もう30年近く、主に風景を描いてきていることもあって、そうした傾向になったのかもしれません。岡山に住んでいて、海も山も近く、美しい自然に囲まれているので、そういう風景を日々見たり描いたりしてきたことが、ベースになっているように思います。

本当の理由は、正直、自分でもはっきりとはわからないんですけど、感覚的に、青は自分にとって落ち着く色なんですよね。たとえば青とグレー、青と白、青と緑といった組み合わせがすごく好きで、青を中心にした色の展開に惹かれることが多いです。

青って、どちらかというと冷たい印象を持たれることが多い色だと思うんですけど、なぜか自分が描くと、少しあたたかく感じられるような気がしていて。そういうふうに感じてもらえるのは、ちょっと嬉しいですし、もしかしたらそれが自分の作品らしさ、オリジナリティのひとつになっているのかなと思っています。

さきほどの話とも重なりますが、風景や花などをすごく単純化したり、デフォルメしたりして描くことはあっても、そこに「生命感」を感じてもらえるような絵でありたい、という思いが、どこかにあります。

楽しさとか、幸せを感じるような絵が、自分はやっぱり好きなんだと思います。

少し個人的な話になりますが、僕は作家活動のかたわら、現在も作業療法士として医療の現場で仕事をしています。

人の生き死にに向き合ったり、元気だった方が病気や事故で生活が一変してしまったり、仕事や健康、家族、収入を失ってしまうような場面に、日々立ち会っています。

そういう方々が少しでも前向きに、自分らしく生きていけるようにお手伝いすることが、自分にできる役割だと思いながら、関わり続けています。

だからなのか、反動というと言いすぎかもしれませんが、現実社会の中でのつらさや悲しさ、しんどさ、絶望といったものを、自分の作品の中にまで持ち込みたくはない、という思いがどこかにあるんだと思います。

せめて作品の中では、幸せとか楽しさとか、命のきらめきのようなものを表現したい——そんな気持ちが、自然とあるような気がするんです。

決して、大げさにテーマとして掲げているわけではないんですが、結果的に、そういう絵が生まれているのかもしれません。

今後のご活動についてお聞かせください。新たに始めたいことや、挑戦してみたいことがあれば、ぜひ教えてください。

一番かっこよく言うなら、「一番関心があるのは、自分の“次の作品”です」。その一言に尽きます。

これまでもずっと試行錯誤を重ねてきて、その中で少しずつ、自分が理想とする絵に近づいてきているとは思うんですが、まだ「これでいい」と本当に納得できる作品は描けていません。

だからこそ、「次の1枚」というのが、常に自分にとっての課題であり、関心の中心でもあります。これは、作家としてのこだわりというか、本質的な部分だと思います。

具体的な活動としては、個展のほかに、絵画教室やスケッチ講座などの講師も務めています。今後は、それらをリモートでも開催できたらと考えていて、少しずつ準備を進めているところです。

Instagramのフォロワーさんの中には、「講座や展示に行きたいけれど遠くて行けない」という方も多くいらっしゃって。そうした方々にも、気軽に作品や講座に触れていただけるような形がつくれたら嬉しいなと思っています。

展示については、今のところ岡山や関西が中心で、東京ではこれまでに2カ所ほどで個展を開いたことがありますが、定期的な開催はまだ経験がありません。

なので、東京や、これまでご縁のなかった地域でも作品を展示し、いろんな方に見ていただけたらいいなと考えています。

やはり、生の作品をその時間、その空間で見ていただくというのは、とても大切なことだと思っています。そういう機会を、これからも大切にしていきたいですね。

5.テントウムシ.heic

堀越 克哉 Katsuya Horikoshi

 

大阪府出身 岡山市在住

 

1983年 京都精華大学美術学部入学

 

1997年 第1回個展

以降、岡山・大阪・神戸・東京などで個展開催。

 

個展中心に作家活動を展開。

 

〈主な仕事〉
2003年〜 「おかやましみんのどうわ」 表紙絵制作

2008年 トマト銀行カレンダー原画

2011年〜 2016年 月刊PHP小説挿絵

2020年〜 岡山信用金庫 妹尾・西奉還町・吉備支店の店内壁画原画制作

2024年 舞鶴ロックフェス「MAIZURU PLAYBACK FES2025」メインアート制作

その他、観光マップ・パンフレット挿絵・スケッチ講師など。

絵画教室主催

 

〈作品について〉

画材としては油彩・アクリル・パステル・水彩・色鉛筆・マーカーなど様々。

 

作品スタイルは、主に風景や植物などをペンで描く一発描き(one-shot drawing)と、身近な風景に着想を得たり、子供の頃の記憶を元にイメージを広げたりして描くアクリル画(painting)を中心に制作。

 

Instagram

https://www.instagram.com/horikoshi_4b/

本ページにて掲載しました堀越 克哉氏による作品名(登場順)は以下の通りとなります:

  • 港町

  • 朝の空

  • 海の見える風景

  • 雨の日

  • テントウムシ

堀越 克哉 
絵画 個展 「君とみた世界」
2025年7月19日(土)から8月10日(日)まで
14:30 - 19:00(最終日のみ14:30 - 17:00)
休廊:水曜・木曜日

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