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二人の陶展「手の気配」& 中島 美静・葉 明慧
*本記事は、中島美静氏と葉 明慧氏からいただいた話と、BIOMEのブログやNews Releaseなどの公開資料をもとに作成・編集しています。
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「手の気配」とありますように、手を通して見えないエネルギーを作品にいっぱい注いでいます。
心に届けたい、そのなんともいえない暖かさを感じとっていただければ、そんな幸せなことは
ないです。(葉明慧)
制作中はなるべく手で余計な圧がかからないように気を付けているので、ある意味「手の気配」を
消している感じなのです。
また逆に仕上がりに応じて組み立ての方法やタイミングをずらすことで柔らかなゆがみができます。
それらにはやはり成形時の手の気配を感じられる面白さがあります。(中島美静)
2026年8月15日(土)から9月6日(日)まで、中島美静(Mishizu Nakajima)氏と葉明慧(ヨウメイケイ Yap MinHui)氏による二人の陶展「手の気配」が開催されます。
「手の気配」という言葉が、ご自身の作品にどう関わるかをお二人にお聞きしました。
意匠の方向、制作方法が異なりますが、作風の近さがお二人を結びつけるのではなく、作品に至るまでの“手”がお二人を結びつけているとBIOMEは考えます。
触れすぎず、どこで曲げ、どこで接ぎ、どこで装飾を止めるのか。頭で判断しているのではなく、手が判断する―そんな気にさせてしまう、お二人の作品には想像を超える魅力があります。
中島氏と葉氏との出会いはBIOMEの恒例企画である「たからもの for おくりもの 2022」でした。
新しいルーペを手に入れたのでますま す楽しい。美しい曲線の中に無数の皺が見えたり、目に見えないドットだらけだったり網目だったり、小さな世界にどっぷりハマっています。(中島美静)

今はこんなふうに羽を一枚いちまい作って、載せてゆくそんな技法にはまっています。細かい作業は好きです。(葉明慧)

「たからもの for おくりもの 2022」開催前に、お二人からいただいたお話の一部となります。
陶磁のカテゴリーにて出展いただいてから、改めてご紹介する機会をと思いながら、神戸・御影移転の最初の年に開催する運びとなりました。
中島氏も葉氏も、シンプルな手捻りの陶というよりは、形、装飾、細部、表面の扱いに、手先を駆使した様子がわかるものです。またお二人の意匠へのこだわりや意欲が感じられます。
陶芸の制作には、土、釉薬、火などが関わりますが、素材に触れ、その行方を決めていくのはアーティストの手です。
成形と装飾はすべてが生乾きのタイミ ングのうちに作業をしないと塩梅がよくないので、始めると終わりまで休めません。焼成でゆがみや化粧の剥離など出ないよう、時間をかけるというよりも、完全乾燥までの段取りにとても神経を使います。
装飾、色、釉薬について、意識していることは、白さの雰囲気です。磁器や半磁器の生地に白化粧をかけ、釉薬も少し白さの出る調合をしています。すべてが質感と色味の異なる白です。全部が組み合わさるとどこかやさし気な印象に仕上がります。特にここ数年は生地を陶土から磁土に変えました。生地と化粧の白さの違いが、より繊細になったと思います。(中島美静)

中島美静氏は、タタラ成形を中心に制作しています。土を板状にのばし、乾きの段階を見ながら曲げ、接ぎ、形を決めていく方法です。近年は、底部にアールをもたせた器や、高台をつけない器など、置かれた器の中に動きを含ませる制作が中心になってきています。白化粧、いっちん、釉薬によって重ねられる白は、単色の白ではなく、質感や光の受け方の違いを持っており、和紙を貼り重ねたかのような雰囲気が素朴で、他にはない作品となっています。
成形前と絵付けでは、ある程度完成図が薄っすらとでも見えていないまま進めることが多く、成形したものは後になって「違うな…」となることが多いです。絵付けに関しては、何度も色のテスト等を経て、何層にも何層にも装飾してるので、一番時間が掛かってます。
今の絵付の技法は、自分が作陶を休んでる期間に刺繍にハマって、その刺繍みたいに陶器にも出来たらな〜と思い、産み出したものです。
色と模様に関しては、母国のマレーシア、韓国や中国の古代劇にあるような服飾が好きで、そこから影響を受けてると思います。(葉明慧)

葉明慧氏は、石や砂を含む荒い白泥を用い、すべて手捻りで成形します。作品の表面には、色化粧土を何層にも重ね、その上に線描を加えます。作陶を休んでいた期間に刺繍へ関心を持ったことが、現在の絵付けにつながっていると言います。また、マレーシア、韓国、中国の古代劇に見られる服飾への関心も、色と模様の感覚に関わっていることが見てとれます。丁寧に重ねられ、成形された作品の表面は、葉氏が生まれた国での生活や環境の反映を思わせるユニークな特徴がみどころです。
二人の陶展「手の気配」では器や花器が中心で、開催期間中、手に取ることができます。
作品全体の柔らかい雰囲気はもちろん 、近くで、色化粧土が何層にも重なった上に線描きをしているところを見て頂けると嬉しいです。作品に触れて、その柔らかな熱量を感じて欲しいです。(葉明慧)
あえて足(高台)をつけずに仕上げているものは、スイングさせて、器なのに動きがある面白さを感じてもらえたらうれしいです。あとイッチンの装飾は指で触れて感じる楽しさもあります。(中島美静)

タタラ成形による作品に、白化粧、いっちん、釉薬を重ね、白の差異と形の動きを模索してきた中島美静氏。
荒い白泥を手捻りで成形し、色化粧土を何層にも重ね、その上に線描を加えた作品をつくる葉明慧氏。
タイプの違う作家による陶の二人展となりますが、異なる作風の陶を通して、素材との距離や温度をはかりながらかたちづくられる作品と、それを手がけるお二人は、これからも進化をつづけることと思われます。
ここ最近は、絵付だけじゃなくて、絵がない作品でも自分は納得出来る作品が出来るかを探究中です。まだまだ道のりは長そうですが…(葉明慧)
タタラでの成形方法に一定の安定した技術が備わってきたと感じます。これからもっと自分の表現したかった形が実現できるよう進化も深化もしていきたいと思います。(中島美静)

中島美静 / Mishizu Nakajima
東京生まれ。
明星大学日本文化学部生活芸術学科卒業。同学科彫刻科研究生修了。
明星大学造形芸術学部研究科陶芸専攻修了。
2008年、東京都あきる野市に築窯。
2003年から2017年まで京王ギャラリー「米の器展」に出展。
2016年より京王美術・工芸サロンで個展を開催。
2026年3月、GALLERY凜空で個展。

葉 明慧 / Yap MinHui
マレーシア・クアラルンプール生まれ。
1998年、来日。芸術短期大学卒業。
多治見市陶磁器意匠研究所修了。
2002年から2007年まで陶磁器商社や窯元でデザイン・企画を担当。
2008年、第8回陶磁器国際フェスティバル美濃デザイン部門審査員賞。
現在、岐阜県可児市にて制作。
2023年、ギャラリーヴォイス「今のうつわ これからのうつわ PartⅤ」に出品。
2024年、市之倉さかづき美術館 ギャラリー宙で個展。



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