

松下 直史
Nofumi Matsushita
陶芸家
磁土、金属線、釉薬を用い、窯で焼成した器やオブジェを制作しています。白く滑らかな磁器に釉薬を施し、金属線を配置して焼成すると、熱によって金属線は粒状に変形し、ときに流れ、表面に痕跡を残します。秋田で過ごした幼少期、雪の公園で頬に雪が溶けていった感覚を、素材が火の中で反応して生まれる滲みや痕跡に重ね、作品の中にとどめることができればと思います。
Ordinary Days
最近の身の回りの大きな変化は2つあります。
1つ目は、2026年9月に第一子が誕生しました。母子ともに健康でした。
心配なこともありましたが、周りの助けや、元気な子どもを見て大変励みになりました。大学を卒業し、秋田からやきものの産地に来て知り合った作家さん方から、赤ちゃん用品を譲っていただいたり、相談をさせていただいたりして、多くの方から支えていただき、制作活動を続けていけていることを実感しました。


2つ目は、同じく今月、窯が工房に届いたことです。大学で陶芸を始めた頃から、作家として生計を立てることを目指してきましたが、これまでは数年間、研究機関やレンタルの窯を利用しながら制作してきました。窯の予定に合わせて制作したり、作品を運ぶ過程で破損したりすることもあり、思うように制作できないもどかしさもありました。ようやく自分の工房に窯を迎えることができ、これでようやく作家としてのスタートを切ることができたような気持ちになりました。
1997年
2020年
2026年09月〜10月
秋田県出身、愛知県在住。磁器に金属線と釉薬を施し、窯で焼成する技法で器やオブジェを制作する。
2020年に秋田公立美術大学を卒業後、愛知県立瀬戸工科高等学校専攻科や秋田公立美術大学研究生を経て、2024年より瀬戸市新世紀工芸館に在籍。磁器の滑らかなフォルムに沿って、金属線が熱により粒状に変化しながら流れた跡に、釉薬との反応で淡い発色を生む。秋田市と愛知県瀬戸市を行き来しながら、陶芸や彫金を学び、秋田で触れた銀線細工の技術や、瀬戸で培った釉薬の知識を活かした焼成実験から現在の表現に至る。幼少期に秋田で過ごした雪の日の記憶も、作品における色、音、感触への関心と結びついている。磁器に金属線と釉薬 を施し、窯で焼成する技法で器やオブジェを制作する。
「秋田」にゆかりのある作家が集まったグループ展ということで、偶然か、当然か、お世話になっている方や、尊敬する先輩と展示に参加させていただけて、とても光栄であり、緊張しております。
作品は、磁器、金属線、釉薬を用い、窯で焼成する技法で器などを制作しています。特に金属線を扱う技法は、秋田の「銀線細工」を学んでいた経験がヒントになっているところがありますが、多くは焼成実験から来ています。日々研究を繰り返し作品を制作しています。また、関西で展示するのが初めての機会で、作品と関わる方がどのような反応をしていただけるか楽しみです。自身の制作では、故郷の雪国で触れた、ほのかな光、澄み渡る空気、冷たさと温かさが共存する感覚を重ね、作品に取り入れることをテーマにしています。作品を鑑賞した人の気持ちを、少しでも豊かにできたら幸いです。

