

東 穂高
Hodaka Azuma
ガラス作家
今回の展示では新しい挑戦があるものを作っていきたいと考えています。
新しい作品を生み出すのは、悩み、苦しみも伴うものであります。ですが、恐れを抱きつつも、臆することなく向き合っていきたいと思っております。ものづくりというのは、昨日よりも今日作ったものが良くなるように、辛抱強く少しずつ積み上げていくことが大事なのではないかと思います。
そしてその先に良い作品が生まれるのだと信じております
Ordinary Days
ガラスの靴を作ってみたいな、と思ったのはまだ学生の時でした。当時はガラスの専門学校に通っていて、洋書を扱う本屋が学校へ販売に来る機会がありました。そのとき買ったのが、靴のデザインについて書かれた洋書で、タイトルは『New Shoes: Contemporary Footwear Design』といいました。
硝子の靴を作ることには、一種の憧れがありました。制作は技術的にも難しく、そもそもどう作れば良いのかさえ、当時の私には考えもよりませんでした。


今では経験も積み、技術も身につけ、ようやくその制作に挑戦することができます。これまでに習得した宙吹きやカットガラスの技術を最大限使うことになるでしょう。
そして何より、硝子の靴は童話『シンデレラ』の象徴的なアイテムでもあり、現代ではプロポーズや記念日に贈られる、宝石のような「宝物」としての意味があるように思います。学生の頃には作る方法さえ分からなかった硝子の靴が、長い時間を経てどんな形になるのか、自分自身も楽しみにしています。
1989年
2010年
現在
宮城県生まれ
秋田公立美術工芸短期大学 工芸美術学科 窯芸ガラス 卒業
2012年 富山ガラス造形研究所 造形科 卒業
金沢市牧山ガラス工房スタッフを経て、現在は秋田市を拠点に制作活動を行い、秋田市新屋ガラス工房のスタッフ・サブリーダーも務める。
硝子を始めて20年弱が経ちました。これはつまり人生の半分以上をものづくりに費やしたことを意味します。そしていつかは”人生の殆どを”と言う日が来るのでしょう。
昔、若い頃に硝子の舟を作りました。これは作ったのはこの長いものづくりへの航海に出立する、という決心からです。幸い舟は沈没することも、陸へ引き返すこともなく航海は続いています。
この仕事は才能というものに重きを置かれがちですが実はそうではないのではないかと、最近は思います。私自身特別な何かを持っているとは口が裂けても言えないですし、美術学校での成績はぱっとするものではありませんでした。
結局のところ、なぜ続けられているのかと考えると、義理や道理と呼ばれるものが大切なのではないかと思いました。
つまりは自分や人と対峙し向き合うことです。自分と向き合うとは、自分を知り、自分なりの考えを持つことです。そうすることで、自分の選んだ道を信じて進むことができます。
一方で、人と向き合うことはときに苦しいことでもあります。それでも長く仕事を続けるうちに、自分では気がついていないところで、案外、人に助けられていることを知りました。
振り返れば、この航海を続けてこられたのは、自分一人の力ではなかったのでしょう。

