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絵画 個展「ちいさな世界―花とこどもたち」&
えがしらみちこ

2025年12月6日(土)から27日(土)まで、えがしらみちこ 絵画 個展「ちいさな世界―花とこどもたち」が開催されます。

心あたたまる絵本作品で知られるえがしらみちこ氏ですが、個展では「その日その日で衝動的に描いてきたもの」をまとめてご紹介いたします。

絵本とはまた違った世界が繰り広げられる個展とともに、えがしらみちこ氏によるお話もぜひおたのしみください。

 

※本ページに掲載している作品名については割愛しております。

BIOMEでの個展は、2021年に開催された「クリスマスの砂糖菓子」以来、約4年ぶりとなります。作品の個展開催は、えがしらさんにとってどのような意味を持つのでしょうか?

お声がけいただき、個展を開催することとなりました。

絵本のお仕事は、依頼を受けて、物語に基づいて14の見開きを作成します。主人公と、お話に基づいた景色を描きます。

でも、仕事としてではなく、自由に筆を動かしたい瞬間があって、絵本のお仕事とは別に、絵を描いたりもしています。「こういうのを描きたいな」とか、気分転換で。

そうやって描いてきた小さな絵が、たくさん溜まってきていました。

お声がけいただいたタイミングは、それらをまとめて額装したり、個展の風景を考えたりできる機会だなと思いました。その日その日で衝動的に描いてきたものを、まとめて観ることができる良い機会でもありますので。

絵本の原画展などもあったりするのでしょうか?

はい、本屋さんが、絵本を販売するために行うことはあります。
今回の個展は、2021年に行った個展に近いかと思います。

えがしらさんは、絵本作家、イラストレーター、えほんやさんのオーナー、そして水彩イラストの講師としてもご活躍されています。これまでのご経歴と、それぞれの活動内容について教えてください。

メインは絵本作家です。2014年にデビューしました。
その3年後くらいに静岡県三島市に住んでおり、同じ市内に住む絵本作家の宮西 達也先生が商店街にギャラリーをオープンされて、お祝いにうかがったときに、市役所の方から「次はえがしらさんですね」みたいなことを冗談で言われました。
そのときに、そういえば雑貨屋さんか本屋さんはやってみたいと思っていたことを思い出し、考えるようになりました。そんなことを考えているうちに、宮西先生のお隣のお店が空いたとお聞きし、よいタイミングかもと思ったのがはじまりです。
準備をはじめてからは、坂道を転がるようにお店がオープンした感じです。最初からビジョンがあって、「絶対にこれをやりたい」と決めて進んだわけではなくて、なんとなく「準備しておこう」と思って準備すると、そういう方向に道が開ける感じで、10年間生きているなと思っています。

三島市のサイトなどで、えがしらさんの作品が展開されているバスなどを見ました。宮西先生、えがしらさん、三島市は絵本の街をめざしているようにも見えます。

1人じゃできないことが降ってきたりするので、とてもありがたいなと思っています。

 

ご参考までに:

https://www.city.mishima.shizuoka.jp/ipn060855.html

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2025年12月6日から開催される個展のタイトルは「ちいさな世界―花とこどもたち」。ご出版されている絵本にも、かわいらしく楽しげな子どもたちが多く登場します。

えがしらさんにとって「子どもたち」とは、どのような存在なのでしょうか?また、子どもたちを描こうと思われたきっかけについてもお聞かせください。

ただ描くのが好きというだけで、あのほっぺたとか、フォルムとか、きれいだなあ、かわいいなと思います。それを表現したいと思うんでしょうね。なんで描いちゃうのか自分でもわからないのですが、描きたい気持ちでしかないんです。

大人を描かれた作品は拝見していないのですが、子どもというと、赤ん坊からどれぐらいの年齢までのお子さんを描きたいなと思われますか?

赤ちゃんから未就学児ぐらいが一番楽しいです。

えがしらさんのオリジナルの絵本に登場する子どもたちですね。

はい。

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えがしらさんの作品には「花」も多く登場しますが、外出やお散歩の際に、見かけられた花を描くことが多いですか?

そうですね。だいたいお散歩のときに、目にとまったお花ですね。

最近、心に余裕がないな、あまり花を見ていないなと、特に思っていて。1年前までは「何々が咲いている」とか「春になってきたなあ」とか、かみしめていた気がするんですけど、最近は何が咲いているのか全然見れていなくて。花は、心のバロメーターにもなります。

特に最近は、季節感がないというか、気候がおかしいときがありますからね。

ここ数年、そうなっちゃっていますね。

今回の個展タイトルを「ちいさな世界―花とこどもたち」とされた理由についてお聞かせください。

“IT’S A SMALL WORLD”という曲がありますが、そこからです。子どももお花も、小さくて、かわいいなと思っています。お花は、誰かに見られるために咲いたりしていないし、誰かの評価を気にしていないみたいな感じが、子どもたちの生きている姿と似ているんじゃないかと思って。

「ちいさな世界」というタイトルが合っているかなと。

『はじめての小さな水彩イラスト』を拝読しました。また、Instagramなどでも作品制作の過程を公開されています。

ご自身の技法やスタイルを一冊の本としてまとめられたことは、珍しい試みだと感じました。このご出版に至った背景や思いについて教えてください。

編集者さんの力が大きいです。Instagramにアップしていたのを編集者さんが見つけてくれて、「描き方本にしませんか?」とおっしゃってくださって。

技法書みたいに振り切りたくもないし、かといって作家の画集っぽくもしたくないバランスでやりたいなと思っていますが、どうですか?と聞かれたので、「私もその中庸な感じが好きです」と言って、一緒に作っていった感じです。

 

ご参考までに:

『はじめての小さな水彩イラスト』に関する情報
https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798185323

本を拝見しておりますと、えがしらさんの絵を描けてしまうような気になるのですが、アーティストさんで描き方を教えるなど、稀なことではないですか?

そうですよね。私は、気になったらぜひ試してみてもらえたらと思っています。隠すとか、教えたくないとかはないです。
自分でオリジナルの技法を編み出したわけではなく、自分も同じように技法書などを見て、練習したものばかりなので。私の絵を見て、知りたいと思ってくれるなら、とても嬉しいです。

今後もこういった本を出していきたいとか、もっと違うふうにやってみたいなとかありますか?

どうなんですかね。
みなさんの求めているものと、私ができることのバランスが合致すれば、次へ向かえそうですが、編集者さんも私も、まだ先が見えていない状況です。

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えがしらさんの描く世界には、息づかいが感じられます。静止画でありながら、髪や空が動いているような印象を受けます。

谷川俊太郎さんの詩『ありがとう』の世界のように、絵に“動き”を感じる作品が多いです。

ご自身の創作や制作において、心がけていらっしゃることを教えてください。

特にないんです。そういうふうになっちゃうというか。

無機質な感じであまり描けなくて、すごいおしゃれな絵とか憧れるんですけど、そういったストックが私のなかにはないのかなと。

絵本を読んだときの絵とか、物語を読んだときの挿絵とか、たくさん見てきているので、多分、そういうのしか出せないし、描けないんだと思います。お話に沿って絵を描くほうがしっくりきます。

 

ご参考までに:

『ありがとう』に関する情報

https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000349175

えがしらさんが絵本をつくられる場合、物語や文章を考えてから、描かれるのでしょうか?

そうですね、文章がありますね。

でも、音楽っぽい感じでリズム的に全体の流れを見ている時もあって、「こういう絵が入ったほうがいいかな」と思い、実際に絵を入れてみて、文章をつけることもあります。

今年も残りわずかとなりました。今後に向けて、取り組まれていることや新たな展望があれば、差し支えない範囲でお聞かせください。

絵本をつくるのを教えることに、ちょっと関心が出てきています。講演会や、絵本作家としての講師のご依頼をいただいて、みなさんの前でお話しする機会もありますので。
「絵本ってどうやってつくっているのだろう」というのを、言葉で説明できるといいなというところに重心が傾いてきているなって感じはしています。

それと同じくらい絵本をつくりつづけていきたいなとも思っています。初期の『はこちゃん』という絵本、文章はかんの ゆうこさんという方が書かれているのですが、あのときの絵が、あまりそぎ落としていない感じの絵で、なんかいいなと思っています。

今は、見せたいものを見せるために背景を白抜きにするとかって考えながら描いてしまっているところもあるので、もう少し崩してもいいんじゃないかなと、最近思いはじめています。整えすぎず、衝動や偶然のにじみを生かした描き方ができたらいいなと。

 

ご参考までに:

『はこちゃん』に関する情報

https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000138357

最後に、今回の個展の見どころについて教えてください。

単発で描いているものをまとめあげる作業が必要かなと思っており、今回の個展はそういった場になります。空間まるごと楽しんでもらえたらいいなと思っています。

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えがしらみちこ 

Egashira Michiko

 

絵本作家。

福岡生まれ。

静岡県三島市在住。

熊本大学教育学部卒業。

主な作品として、『あめふりさんぽ』『さんさんさんぽ』『あきぞらさんぽ』『ゆきみちさんぽ』『はるかぜさんぽ』などのさんぽシリーズ(講談社)、『なきごえバス』(第9回MOE絵本屋さん大賞2016「パパママ賞」第1位 )『なきごえたくはいびん』(白泉社)、『いろいろおてがみ』『いろいろおしたく』(小学館)、『あのね あのね』(あかね書房)、『あなたのことが だいすき』『いまのきもちはどんないろ?』(KADOKAWA)など。
『せんそうしない』『ありがとう』(文・谷川俊太郎 / 講談社)、『おかあさんのいのり』(文・武鹿悦子 / 岩崎書店)、『まだかなまだかな』(文・竹下文子 / ポプラ社)の絵を担当。また、雑誌や教科書などの挿絵も手がけている。
現在、静岡県三島市にある絵本専門店「えほんやさん」代表も務めている。


Website: 

http://tenkiame.com/

Instagram: 

https://www.instagram.com/ega_michi/ 

えがしらみちこ

絵画 個展「ちいさな世界―花とこどもたち」

​2025年12月6日(土)から27日(土)まで

12:00 - 17:30(最終日は11:00 - 15:00)

​水曜・木曜日は休廊

 

​個展への入場は予約制となります。

また作品購入はエントリー制・抽選制となります。詳細については、こちらをクリックするか下記のURLにてご確認ください。

https://www.biomekobe.com/yoyaku

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