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日常で の気づき、イベントやアーティストについて触れた日々のメモです。
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Reminiscence in FLUX|時間と記憶をつなぐ 南谷富貴
2025年11月1日から「Reminiscence」と題した南谷富貴さんの個展がスタートしました。古木を用いた立体作品の展示が初めてのBIOMEでは居心地が悪いかも、という不安など払拭されるほど、床に壁にとなじんでくれました。 その個展は2週間を経て、11月15日からは青木岳文さんの白磁との合同展への展開となりました。題して「Reminiscence in FLUX」。 南谷富貴作「残滓2」古材×リキテックス 25×8.5×8.5cm 壁にもかけられるチャーミングな存在 古木と金属という異なる時間を宿す素材は、作家を介して出会いました。いまそれが、BIOMEで初のお披露目となります。鉄のみならず、モルタルや漆喰などが古木と触れ合い、生まれ変わっていく過程を捉えた立体作品がならびます。 特に、金属の作品は古木を抱きしめるだけでなく、まるで作品そのものをやさしく支えてくれているかのようです。鑑賞者を置き去りにすることなく、安心感を与えてくれるはずですよ。 そして、それぞれの素材が触れ合うまでの来歴、作者による制作、そして完成、作品が内包するあらゆる
11月15日読了時間: 2分


Reminiscence in FLUX|白磁がたどる“記憶のかたち” 青木岳文
現在開催中の二人展のお一人、先に個展をスタートした南谷富貴さんの立体作品は、古材。これらがまとってきた時間の澱が、静かな呼吸と心地よい木の匂いとなって漂っています。長いあいだ建材として役割を果たし、風雨にさらされ、手の跡が染み込み、その変化の層そのものが「記憶」として刻まれている。南谷の作品は、その記憶をそっとすくい取るように、新たなかたちへと変換していきます。 その“記憶の変容(FLUX)”というテーマは、青木岳文さんの白磁にも不思議と響き合っています。これはあくまで設営の過程・結果として感じた印象ですが、東京の展覧会で拝見したときから、青木さんの白磁には、作業の積み重ねから生まれる時間が流れ込んでいるように思われました。 スポイトで一粒ずつ置かれた白磁の点の連なりが、一定のリズムを描かれていて、型取りされた直線的な面と並びながら一つの形をつくっていく。そのプロセスには、素材と丁寧に向き合う姿勢が見え、静かな造形の中にも明確な意志が感じられます。 急がず、確かめるように進む方なのだろうという部分と、控えめな印象とは裏腹に、作品への判断やこだわり
11月15日読了時間: 2分


11月の人 南谷富貴
南谷富貴(Fuki Nanya)さんは、アート然とした語り口とは少し距離を置く方です。それはつまり、木を扱うことが「表現の手段」である以前に、すでに日々の営みとして身体に染みついているということなのだと思います。古材を手に取り、削り、組み合わせることが、まるで呼吸のように自然なのです。 個展の前にと、神戸にお越しいただき、ギャラリーをご案内しました。そしてその後、忙しい合間であろう、帰る時間ギリギリまでご一緒しました。イタリアンレストランのカウンターでの一コマ。作品の話だけにとどまらず、話題はいつしか子育てへ。同世代の親として、笑ったり、共感したり、ちょっと寂しい話にうなずいたり――そんなあたたかな時間でした。その姿からは、作品を通して見えてくる「穏やかさ」や「人との距離の取り方」そのものが感じられました。 南谷富貴さん 作品は一見すると静かですが、そこには相当な「荒行」があります。木を切り出し、削り、色を施す。そのひとつひとつの作業が、彼女にとっての祈りのようでもあります。 今回の個展タイトル《Reminiscence(レミニセンス)》は、記憶
10月22日読了時間: 2分


寺井陽子② 彼女の釉薬
BIOMEでの「空のかたち 雲のパヴェ」個展では主に二色の作品として美しく設営されています。その色のことについて、寺井さんが丁寧に教えてくださいました。 そのままご紹介することにしましょう。 「うすいろ」と呼ぶ淡い色味の作品。チタン結晶釉を用い信楽土で手びねり。手跡を削り磨...
10月9日読了時間: 2分


寺井陽子① 彼女の陶
開催中の個展「空のかたち 雲のパヴェ」。初日からファンの方やご興味をお持ちの方々に次々とご来場いただき、誠にありがとうございます。 ご来廊の折には、新作を思い思いに並べてご覧になったり、寺井さんへ質問されたりと、穏やかな談笑が広がるひとときとなりました。...
10月6日読了時間: 2分


ひとりごと 感謝欲について
「感謝欲」。 この言葉について、過去にも触れたことがあるかもしれません。日々の人間関係や仕事の中で、「ありがとう」という言葉や感謝の行動に、私たちは無意識に反応しています。この反応の傾向を「感謝欲」と呼ぶのだと学びました。...
10月2日読了時間: 2分


「旅する版画ー神戸にて」11人の友だち
版画二人展のおひとり、仲紘嗣(なか ひろじ)さんは医師として数冊の書籍を発行されています。 そして、1988年から挑戦されている木版画の作品集もご用意されていました。 1冊を特別にいただき、作品にまつわるエピソードを楽しく、そして時には真剣に読ませていただきました。...
9月14日読了時間: 2分


「旅する版画ー神戸にて」神戸にて
展覧会の初めの三日間は、山下かず子さんのナビゲーションで幕を開けました。 山下さんはとても人懐っこい方で、すぐに周りの心をつかんでしまいます。魅力的に話されるだけでなく、ゲストの方々の声にもたっぷり耳を傾け、ひとつひとつを大切にされるのです。会場には自然と和やかな空気が生ま...
9月14日読了時間: 2分


10月の人 寺井陽子
真っ白ではありません。 寺井さんの作品には、白の中にどこか自然の要素──樹液や、小鳥が落としていった木の実のようなもの──が感じられます。 兵庫県のご出身ですが、現在は漆芸家であるご主人とともに仙台の森の中で暮らしています。 向こう側は沢...
9月8日読了時間: 2分


生きる、ということ。仲紘嗣と山下かず子
2025年8月30日から始まる版画二人展。その会期が近づくにつれ、アーティストとも密にやりとりが重なります。真夏のある日、山下かず子さんから届いた一通のメールは、私の胸を強く打ちました。―それは、ただ展示準備に関する連絡を超え、「生きる」ということの重みと尊さを深く考えさせ...
8月24日読了時間: 2分


BIOMEのひとりごと 2025年8月
アートシーンの話題や課題は、人が生きる上で関わる多くの事象に関連しているため、考えが尽きません。例えば、2025年に入ってから、「エコサイクル」という言葉が、アートの文脈でどのように使われているのか調べています。 主に、以下の二つの文脈ではないでしょうか。 一つは、...
8月15日読了時間: 3分


9月の人② 仲 紘嗣
仲さんは「紘嗣 ひろつぐ」さんかと思っておりましたが、ご本人から「紘嗣 ひろじ」と表記してほしいとのご要望がありました。大変失礼いたしました。 皆さまもぜひ「ひろじ」さんと覚えていただければと思います。 実は、私はまだ仲さんと直接お会いしたことがありません。...
8月4日読了時間: 2分


9月の人① 山下かず子
山下かず子さんの版画作品は、北海道のカフェなどで、こぢんまりと紹介されてきました。BIOMEとのご縁は、陶芸家・堂前守人さんの「はこだて工芸舎」にて展示されていた山下さんを、堂前さんにお願いしてご紹介いただいたことがきっかけです。...
8月4日読了時間: 2分


中島梨絵 ライフワークの一つに
西日本初、神戸で個展を果たした中島梨絵さん。 滋賀県ご出身ですので、ご家族そろってご来廊 いただいたり、大学時代のご友人も大勢。 そば耳をたてていると、それとなく中島さんの背景にある習慣や経験されてきたことがうかがえるかのようでした。...
7月12日読了時間: 2分


アートの価格(うんざり)
この手のテーマは、過去からさまざまな形で取り上げられています。 私自身は、作陶したり、絵を描いたりする技量を持ち合わせていません。材料に原価があるのは理解できますし、その材料の価格が高下するのもわかります。 さて、一番大切なアーティストの「手」や「脳」を動かす部分の価値をど...
7月6日読了時間: 2分


Art Basel in Basel⑤
余談:怠った予習 スイスは富裕層優遇政策や移住政策など、アートフェアとの親和性が高い国です。シンプルな街並みにアートバーゼルの熱気が交錯する非日常的な風景、そしてイベント後も美術館やギャラリーが企画展を刷新し続けるなど、その波及効果は計り知れません。実際、他の美術館での企画...
7月4日読了時間: 2分


Art Basel in Basel④
第三部: アートの価値と自分 特に印象的だったのは、アーティストやギャラリストが自作の魅力やコンセプトについて積極的に語る姿でした。「作品への愛情と自信」が、ここでは自然に表現されています。 観客やコレクターとの対話も活発で、その場で作品の価値や意味が能動的に形成されていく...
7月4日読了時間: 2分
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