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Knowing More About
3人の版画リレー展
「おわりとはじまり」 & 
中村 美穂

2024年12月7日(土) から25日(水) まで、3人の版画リレー展 中村 美穂・片平 菜摘子・宮崎 文子による「おわりとはじまり」が開催されます。

中村 美穂氏に、作品や制作についてお話を伺いました。

12月7日(土)から10日(火)までの中村氏による版画展と合わせて、ぜひお楽しみください。

 

作品名:「Echo in the Memory 1」

中村美穂Echo in the Memory 1」木版23×18センチ.jpg

「おわりとはじまり」のキービジュアルとなっている「Echo in the Memory 1」。今年10月に東京都美術館で行われた日本版画協会による版画展で、「Echo in the Memory 2」とあわせて拝見しました。2つの作品についてお聞かせください。

私は身近な風景をモチーフにし、水性木版技法で作品を制作しています。普段から気になった風景を写真に撮り溜め、その中から作品となるモチーフを選びます。その後、鉛筆で下絵を描き、彫刻刀で版を彫り、バレンを使って摺っていきます。
モチーフとして選ぶ風景は、高速道路や街灯、クレーン、住宅街など、日常的でありふれた場所が多いです。それは、ふと目に留まった何気ない場所に日常の愛おしさを感じるからです。そうした小さな記憶を作品に残し、観る人の大切な記憶と響き合うことができればと思っています。

「Echo in the Memory」はシリーズ化されている作品なのでしょうか?また、「おわりとはじまり」にて出展予定の作品についてもお聞かせください。

「Echo in the Memory」は、今年から作り始めたシリーズ作品です。
これまでの作品は五感を通じて感じた光や匂い、その場所の空気感を大切に制作してきました。しかし、目に見えないものを表現するのは難しい部分もありました。そこで、制作の指針となるような確かな言葉を求め、「響き」という概念にたどり着き、シリーズのタイトルを「Echo in the Memory」としました。

リレー展のテーマ「おわりとはじまり」について、私の中では「おわり」と「はじまり」ははっきり分かれているものではなく、知らぬ間に始まっていたり、同時に進行していたりするものです。たとえば、散歩中に金木犀の香りに気づくと、秋が始まったことを意識します。しかし、香りに気づく前から、金木犀は秋の準備をしていたと感じます。日常には小さな「おわり」と「はじまり」が潜んでおり、それを記録するような作品を作りたいと考えています。

作品名:「はなのおと」

nakamurasan_hananooto.png

Instagramなどで紹介されている、青や緑が使われている作品を拝見しました。色合いについて、作品制作で心がけていることを教えてください。

私は空や川などをモチーフにすることが多く、都会の中にある小さな自然の変化を意識しながら制作をしています。そのため、青や緑を多く使うようになりました。
作品制作では、モチーフにドラマチックな演出を加えすぎないよう気をつけています。ただし、見たものをそのままなぞるだけではなく、観る人が自然に作品の中に入り込めるよう、構図や色味を工夫しています。

中村さんが思う木版画の魅力について教えてください。

私は水彩絵具の瑞々しい色味に魅力を感じています。水性木版技法では、バレンを使い、和紙に絵の具を擦り込むように摺ります。この過程によって、木版独特の滲みや質感が生まれます。私は淡い色を何度も摺り重ねることで、作品の中に空気の層のようなものが積み重なっていく感覚を楽しんでいます。

 

作品名:「雨上がりの月曜日」

nakamurasan_ameagarinogetsuyoubi.png

12月のリレー展のタイトル「おわりとはじまり」にちなみ、中村さんのパートでサブタイトルをつけるとしたら、どのようなものになりますか?

「紡がれた時間」というサブタイトルをつけたいと思います。「おわりとはじまり」というテーマをもとに、日常の小さな変化を集めた展示をイメージしました。季節ごとに変わる風の匂いや雲間から差し込む光、一日の終わりに見た風景など、日常の中で見つけた小さな「おわり」と「はじまり」を描きたいと考えています。それによって、今までの時間の積み重ねを感じられる展示にしたいと思っています。

新たな年を迎えるにあたり、新しく始めたいことや挑戦してみたいことはありますか?

以前少しだけガラス絵を描いていましたが、しばらくお休みしていました。これを機に、再び挑戦してみたいと思っています。ガラス絵に興味を持ったきっかけは、木版画家の山中 現さんのガラス絵ワークショップに参加したことです。ガラス板に描かれた絵の具の美しさに心を動かされ、自分の制作にも取り入れたいと思いました。ガラス絵はまだ勉強中ですが、その過程も楽しみながら制作を続けていきたいです。

 

作品名:「ひとりしずかに」

nakamurasan_hitorishizukani.png

中村 美穂 Miho Nakamura

 

女子美術大学芸術学部絵画学科洋画専攻版画コース 卒業

女子美術大学大学院美術研究科美術専攻版画研究領域 修了

2018 しべつアーティスト・イン・レジデンス招聘/ 北海道士別市

2020~2023 武蔵野美術大学版画領域専攻 非常勤講師

現在、日本版画協会 会員、女子美術大学美術教育専攻 非常勤講師(2018~)、

女子美術大学洋画専攻版画コース 非常勤講師(2023~)、

武蔵野美術大学通信教育課程版画コース 非常勤講師(2024~

 

主なグループ展:

2012 第37回全国大学版画展(町田市立国際版画美術館 東京)

2013 新鋭展PartⅠ(シロタ画廊 東京)

2014 日本版画協会第81回版画展受賞者展(シロタ画廊 東京)、

    第39回全国大学版画展(町田市立国際版画美術館 東京)

2015 女子美術大学大学院版画修了制作展(シロタ画廊 東京)、

    日本版画協会第82回版画展受賞者展(シロタ画廊 東京)、

    版画展SELECTION(ギャラリーなつか 東京)、

    日本版画協会第82回版画展受賞者画廊選抜展(養清堂画廊 東京)

2016 日本版画協会第83回版画展受賞者画廊選抜展(養清堂画廊 東京) 、

    山口源賞大賞新人賞受賞作品展(沼津市庄司美術館 静岡)、

    日本版画協会第83回版画展受賞者展(シロタ画廊 東京)

2017 第61回CWAJ 現代版画展併設展(フレデリック・ハリス・ギャラリー 東京)、

    アワガミ国際ミニプリント展2017(阿波和紙伝統産業会館 徳島)、

    開通55周年記念「芸術作品に見る首都高展」(O美術館 東京)

2018 日本版画協会第85回版画展画廊選抜展(養清堂画廊 東京)、現在への起点 

    女子美術大学収蔵作品を中心に(女子美術大学美術館 神奈川)

2019 しべつアーティスト・イン・レジデンス成果展(いぶき市民ギャラリー 北海道)

2020 女子美術大学創立120周年記念展(日本橋高島屋 東京)

2021 中村美穂・山城有未展(養清堂画廊 東京)

2022 開通60周年記念「芸術作品に見る首都高展」(O美術館 東京)、

    HANGA NEXT GENERATION 明日の星たち stage.3(日本橋高島屋 東京)

2023 HANGA NEXT GENERATION 明日の星たち stage.3 巡回展(ギャラリー恵風 京都)

 

パブリックコレクション: 

女子美術大学版画研究室、町田市立国際版画美術館、沼津市庄司美術館、

士別市立博物館、鹿沼市立川上澄生美術館

 

賞:

2011 女子美奨励賞

2012 第37回全国大学版画展買い上げ賞 

2013 女子美術大学卒業制作 卒業制作賞、

    日本版画協会第81回版画展 A 部門奨励賞

2014 日本版画協会第82回版画展 山口源新人賞、

    第39回全国大学版画展買い上げ賞 

2015 女子美術大学大学院修了制作 大久保婦久子賞

    日本版画協会第83回版画展 準会員優秀賞FF 賞

2016 第22回鹿沼市立川上澄生美術館木版画大賞 審査員特別賞

2017 アワガミ国際ミニプリント展2017 審査員賞

2019 第24回鹿沼市立川上澄生美術館木版画大賞 準大賞

3人の版画リレー展
中村 美穂・片平 菜摘子・宮崎 文子
「おわりとはじまり」
 
2024年12月7日( 土) から25日(水) まで
12:00 ‒ 17:30(最終日は11:00 ‒ 15:00)
 

中村 美穂 Miho Nakamura
12月7日(土) から10日(火) まで
11日(水)・12日(木) は休廊日

3人の合同展
12月24日(火)・25日(水)

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