宮本敏明③ 「イカリエ」の頃。ポートレートへの動機
- NORI Kuriyama

- 1月15日
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パリでの生活が長期化するなかで、写真への関心が徐々に変化し、取り組む領域も広がっていったとのこと。仕事として人物を撮影する機会が増え、ポートレートを撮影する経験が重なっていったそうです。
その後、仕事量の増加により創作活動を一時的に中断する時期があり、さらに社会全体が大きく揺れたコロナ禍を経て、写真を用いた作品制作へと再び意識が向けられていったようです。
象徴的な風景や建築物を撮影した場合、鑑賞者の関心は、写真作品の場合被写体そのものへと集中しやすい。表現としての写真や撮影者の存在が後景化しやすい側面があります。
対照的に、絵画や他の表現には、意味が即座に確定しない余白が存在します。見る側が立ち止まり、解釈をめぐらせる余地があること。
その想像の過程こそが、作品体験の核心ではないかという考えが、表現の方向性を考えるうえで重要な視点になっているように感じられます。

2023年にBIOMEで発表された個展「イカリエ」では、そうした試みがひとつのかたちとして示されていました。複数の要素を重ね合わせた構成は、鑑賞者に対して、何が写されているのか、どのような素材や支持体が用いられているのかといった問いを自然に生み出し、想像力を通じた鑑賞体験へと導くものだったように感じられます。

