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漆と向き合う人 八代淳子



八代さんのご自宅兼アトリエは、羨ましくなるような軽井沢の森の中。広い敷地に自然と馴染んだものたちが据えられ、ちょっと海外に来たような気持ちにすらなりました。


ひたすら制作の日々で気付けば4月になっておりました。

これから芽吹の季節なので日々庭で顔を出す植物達のチェックを怠らずに庭散歩をするつもりです。毎年うっかりしてしまい気付けばすっかり大人に成長してしまっているのです。


八代さんのアトリエは木工道具はもちろん、チェーンソーまで揃っています。その傍には実験室のように漆やそれにまつわる書籍などが並べられています。ここで、集中して制作をされたり、古典的なことも調べたりと考えると、何か本当に研究者かとも思えます。





3月に台湾で展示があった為、初めて台湾に訪れたのが最大のトピックスでしょうか。台湾観光といえば食。食べに食べてきました。台湾でいただいた食事やスイーツはもし日本で食したらぼやけた味に感じるかもしれないほどの優しい味。それが現地でいただくと美味しく感じる不思議。風土から文化が生まれる体験。異国を知ると自国を振り返るものです。また新鮮な気持ちで制作に向かえそうです。


我々日本人は、海外に出ることがもともと困難であって自分たちの生き方が中心にさえ思ってきました。外からやってきたものは、珍しかったり便利だったりしますし、外国語を話せることはコミュニケーションも広がりますから懸命に勉強したり。けれど、そうなんです。意外に日本のこと、特に歴史や文化について海外で自分の意見を言うことができないことが多くあります。それは言語の問題ではなく、知識や経験の問題だなとつくづく思います。


八代さんがご用意された栞は、栗の木を生地にした、栞らしい栞といいましょうか。

お求めになった方は、これにちょっとしたお菓子なんかをのせてもいいなと思って・・・と目から鱗なご提案。恐れ入りました。



栞は、手元に大事に置いておきたいと感じてもらえるものを目指しました。

そして、時間に追われる日々で大事にできているものがないなと振り返れば反省します。ただ、今までと変わりなく、「よいもの」を作れたらと思います。

(八代淳子)


*文中の太文字は、八代淳子さんのメッセージです。

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