2025年 役に立ったものの話
- NORI Kuriyama

- 2025年12月22日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年12月23日
今年「役に立ったもの」を並べてみようと思いました。
ところが、もっと生産的で、もっと誇らしい何かが出てくるはずかと思ったところ、書き出してみると、どれもこじんまりとしていて、少し照れくさいものになってしまいました。
焼酎・ジン(アルコール)
最初に浮かんだのは、焼酎の青鹿毛と、オーストリアのクラフトジン STIN。いずれも飲食店で知った銘柄。
選んだ理由は単純です。蒸留酒なら、ワインやシャンパーニュの量を増やすよりは、多少なりとも体にやさしいのではないか——そんな浅はかな期待から。合理的かどうかは、実にあやしい。でも「今日はこっちにしておこう」と思える逃げ道があるだけで、少し自分に寛容になれる。
大抵は、どちらもソーダで割ります。柑橘類が必須ではありません。どちらも植物(ハーブや穀類)の香りがふわりと漂います。ソーダを1本いただき、好きな濃度にすれば、酔い方のコントロールまでできるんです。お陰で、すっかり甘さが辛くなってしまいました。
——いや、どう考えても、これは言い訳ですね。
焼酎:青鹿毛(麦焼酎)柳田酒造(宮崎県) ジン:STIN STIN Distillers(オーストラリア)
藤井 風(ミュージシャン)
音楽では、藤井風に救われた1年だったと思います。これまで日本のポップスにほとんど関心のなかった自分が、気づけば何度も再生している。ツアーに行こうとさえしている。そして彼の音楽に救われたというよりも、彼本人に救われたと思うのです。
正直に言えば、彼の曲は、核いくつかのキーワードだけで成り立っているようにも思えます。捨てること。自分自身がすでに神であること。愛。誰もが同じであること・・・。そしてご本人がその心持ちで生きているし、音楽活動でチャレンジをしています。
彼の言動は、時に幼く頼りなく感じる人もいるかもしれません。しかし、もしかしたらこの数年の飛躍的な人気が証明するように、彼自身、彼が目指すところの表現が、あまりにも純粋で、あまりにも真面目で、あまりにも真実だからなのかもしれません。その姿勢に、こちらの方が問い返されてしまう。そして、そうだよね、そうだったよねと思ってしまう。
——おそらく、汚れた心のせいでしょう。

書道(習い事)
三つ目は、書道。
厳しい先生(本当に)のもとで筆を持つ時間は、技術を磨くというより、「居住まい」を整える行為に近い。うまく書こうとするほど線は乱れ、力を抜いたときにだけ、突如として美しい線が残る。これは文字の話であり、同時に生活の話でもあるのだと思います。
そういうものはほかにもありまして、茶道も動く所作やルールには理由があって、納めるべきところにおさめるためのことを、自ら見出すためにする訓練のように思います。
何より、墨や和紙の香りは落ち着きます。時折、目を光らせているであろう若く美しい和装の先生の姿を意識しながら、丹田に力を入れる。
90分の研ぎすまされた至福の時間なのです。

インビザライン(歯列矯正)
四つ目は、インビザライン。歯列矯正を思い切って進めることにしました。高校時代、あれほど辛い思いをした金属のブリッジによる歯列矯正を、最後の仕上げで投げ出した過去があります。それを18か月かけ、透明なマウスピースによって、なんとかやり切りました。
派手な達成感はありません。
ただ、「最後まで終えた」という事実だけが残った。死ぬまでおいしく食べたい——そんな願いは、案外こういう地味な努力でしか叶わないのだと思います。

もふラシ(歯ブラシ)
最後は、もふラシ。ドラッグストアで何気なく手に取った、広告商品でした。歯ブラシです。
期待はしていなかったし、特別な背景もありません。それでも、毎日の歯磨きに、ふと意識が向くようになったのも歯列矯正が終わったせい。歯茎を強く擦る心配もなく、豊富なブラシ感が歯にガシッと当たる。
人生を変えるほどではないけれど、朝と夜の口腔内を気持ちよく救ってくれます。

もふラシ(大木オレンジケアプロダクツ)
こうして並べてみると、日常生活において2025年は、大きな投資をほとんどしていない一年でした。体に入るもの。耳に入る音。姿勢や歯や、手に触れる感触。そうした「日々の入口」を、雑に扱わないようにしてきた年だったのかもしれません——偶然に。
世界を変えることはできなかった。
でも、自分をすり減らさずに済んだ。
それだけで、この一年は、十分に役に立っていたのだと思います。……うむ。




