top of page

宮本敏明④ 「つくるひと」へ

Knowing More Aboutで行った宮本敏明さんへのインタビューや、日常の会話から拾い上げたスピンアウト版の声をお届けします。


人物を撮影する流れが再び生まれていったことは、印象的な変化のひとつでした。大阪・本町にある Art Gallery Espace 446 で活動するアーティストたちに自然と関心が向き、写真で向き合ってみたいと思うようになったそうです。

ギャラリーに機材を置かせてもらい、アーティストの顔写真を撮り始めたことも、その延長線上にあったとのことです。


ちょうどその頃BIOMEは、大阪で開催された個展に大きな衝撃を受けました。2026年に中山手での最後の展覧会を控えていたこともあり、その企画を宮本さんに託したいと考え、その思いを打ち明けました。

大阪で発表されていたポートレート展を、BIOMEでも何らかの形で実現できないかと相談し、被写体の選び方や進め方についても、時間をかけて議論を重ねました。

その過程では、宮本さんから厳しい意見をもらうこともありました。

アーティストとギャラリーでは、視点や企画の論点が異なるということを、互いに認識し合うためのやり取りだったと思います。穏やかな対話を重ねながら、時間をかけて宮本さんの表現と向き合ってきたなかで、学ぶことは非常に多くありました。


撮影が始まってから、印象に残っているエピソードのひとつに、路上で絵を描き続けている人を撮影した写真があります。普段は座って制作しているため、BIOMEにいらした際に「立った視点で撮影された写真で大丈夫だったか」と声をかけられたことがありました。この出来事をきっかけに、被写体が日常的に見ている目線や生活の高さに、より意識が向けられるようになったそうです。

家族写真が自然に見えるのは、生活の延長線上の視点で撮られているからだ、という考え方があります。ポートレートにおいても、その人が普段感じている距離感や感覚を想像することが重要なのではないか。BIOMEとしても、そうした視点の変化は非常に興味深いものでした。



今回のBIOMEでの個展では、「つくる」「つくるもの」「つくるひと」という関係性に焦点を当てる構成が意識されています。完成した作品だけでなく、制作している姿や日々の姿勢そのものに、強く心を打たれる場面が多くあったようです。何かを一から生み出そうとする人たちの姿勢には、確かな強さと美しさがあります。そうした姿に触れることで、作品とどう向き合うのか、表現をどう更新していくのかという問いが、あらためて立ち上がってきたように感じられます。


「つくること」の美しさを、写真というメディアでどのように伝えられるのか。BIOMEとしても、その問いを共有しながら、いまも考え続けています。

bottom of page