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Art Basel Hong Kong Report②

  • 6 日前
  • 読了時間: 2分

視線が止まるとき

  • 作品単位での検証


Egon Schieleのデッサンでは、周囲の観客と同様に足が止まります。

フェアの中でありながら、美術館に近い緊張。空間が締まる状態。デッサンを実見するのは初めてだったこともあり、高揚感が先行したことも否定できません。隣に並ぶMarc Chagallの作品とあわせ、強い印象。強い引力。



Jordi Alcaraz
Jordi Alcaraz

同じ場を振り返ると、Jordi Alcaraz。Mayoral Galleryのブースです。

平面と立体の境界が揺らぐ作品。彫刻、ドローイング、絵画を横断する作家。どこか古典的な印象を持ちながら、素材そのものへの関心が前面に出ています。


フレームの中に収まりながら、奥に空間があるというより、素材の歪みや押し出しによって像が成立しているように見えます。絵を見るというより、物の状態を見る感覚。

すぐには理解できない。見ているうちに構造が見えてくる。

その遅れ、視線が留まる理由のひとつです。




続いて、Jonny Niesche。「Chemical Love」。今回もっとも印象に残った個別作品です。


ネオンのような色面と反射。ヴォイル(薄布)、染色、ミラー、デジタル色。複数の要素の重なり。彼が「イメージ・オブジェクト」と呼ぶのは、こうした関係によって成立する形式のこと。平面に見えながら、見る位置によって変化します。

そのため、鑑賞者は位置を調整し続けることになり、結果として視線が留まる状態が生まれているのでしょう。


ギャラリーに、アーティストの在廊や売れ行きを聞こうと思うも、欧米系来場者による交渉が続いていました。唯一の声がけだったのに...無念。

出展は、ニュージーランドのギャラリー、STARKWHITE。来場者対応も途切れない。接触の機会が得られないほどです。混雑というより、うまく切り回している様子でした。

このギャラリーは2022年にロサンゼルスのギャラリーと提携し、オセアニアでも手広く展開を進めています。世界的なアートフェアへの関与を標榜しているようです。


ギャラリーは単なる小売ではありません。資産というモノとは別に、感性や空気までも届ける役割を担っている。そう考えると、構造としては拡張が可能であり、M&Aを取り入れても不思議ではない領域にあると感じられます。


今回の会場を見渡すと、インスタレーションの多くは視覚提示に留まっていました。構造が単純で、関与の余地が少ない。結果として、空間に置かれている状態。能動的に関わる契機は限定的です。


同じ会場でも、すべての作品が同じように見られているわけではありません。止まるものと流れるもの。その差は、構造と提示の組み合わせによって生じているように見えます。

さて、おおよそ80分ほどが経過したでしょうか。

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