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Art Basel in Basel ①


第一部:

世界最大のアートフェア—期待と違和感のあいだで


アートバーゼル2025の視察を決めた背景には、国内外でアートフェアが乱立する現状に対し、「なぜアートフェアでなければならないのか?」という根源的な問いがありました。


アートフェアはしばしば、作家やギャラリーの評価向上、ネットワークの拡大、情報収集の場として語られますが、それが本質的な価値なのか、私には疑念が残っています。

国内であっても、いまだ参加に至らないその気持ちは一体どこからきているのだろうか。




アートバーゼルは、世界のアートマーケットの「いま」を肌で感じられる場、と言って過言ではないと思います。見せ方も、毎年ブラッシュアップされ、確実若い世代、経験の浅い人たちにとっても、よい機会になっているのだろうなと感じました。


2025年版『Art Basel and UBS Global Art Market Report』でも、同フェアが国際的なアート市場動向を映す重要な指標であることが示されています(Art Basel & UBS, 2025)。


果たして、その現地での熱気や多様な人々の交流を目の当たりにしても、私の中でアートフェアの本質的な必要性や魅力を見出すことは残念ながらできなかったのです。







バーゼルはスイス第三の都市と呼ばれますが、その端正な建物たちは、歴史的な街並みが静かに息づく都市でした。


大都会というよりも中世の建築が残る旧市街、石畳の道、控えめな色彩の建物、街角の噴水や水飲み場。むしろ、素朴でのんびりと家族が過ごす柔らかい街であり、そこには、急速な発展や派手な装飾とは無縁の、穏やかな田舎町のような空気が漂っていました。


アートバーゼルの華やかさは、むしろこの静謐な街に突如現れる異質な熱気なのだと、現地で強く感じたのは私だけだったのでしょうか。





会場では、ボランティアやスタッフもたくさん。ユニフォームはスタイリッシュで、対応も好感だった。


KATHARINA GROSSE(Germany)《CHOIR》2025
KATHARINA GROSSE(Germany)《CHOIR》2025


一般入口 夕方になると列も短くなる
一般入口 夕方になると列も短くなる

【参考文献】

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