小島祐一 インスタレーション
これだけの人間に、一度に囲まれることは、そうありません。
もちろん、ここにいるのはすべて、小島祐一さんが描いた人物です。
大小の人物画が壁の上から床際まで続き、作品と作品の間隔も狭い。顔、顔、顔。その間に身体があり、俯く人がいて、こちらを見る人がいる。

人によっては、圧迫感を覚えるかもしれません。
あるいは、少し怖い、居心地がよくない、さらには嫌悪に近い感覚を持つ人もいるかもしれない。
しかし、それも含めて、この場所には人物画が押し寄せてくるような迫力があります。
小島さんはここ数年、複数の人物画を一つの空間に集積させ、空間全体を一つの作品として見せるインスタレーションを取り入れています。
ただ大量に掛けているわけではありません。
大きな作品と小さな作品をどうぶつけるか。暗い画面のなかに、どこで赤や黄、青を入れるか。顔と顔をどれほど近づけるか。視線の高さをどうずらすか。壁に掛けるだけでなく、床に置く作品をどこに入れるか。
近づけば一人の人物が見え、離れれば何十人もの人間が一つの塊になって迫ってくる。
一枚ずつ鑑賞するときとは、作品の見え方そのものが変わります。
そして、このインスタレーションを見ていると、小島さんがなぜこれほどまで人物を描いてきたのか、ということも考えます。
モデルとなった人がいて、その人を見て、描いた時間がある。
その一枚一枚を、今度は別の人物と隣り合わせ、ひとつの場所へ集めていく。
そこには、小島さんが人物を描くことに託してきたものと、それをどう見せるかという工夫の両方があります。
あわせて、絵の具の置き方や筆致の豊かさも見落としてはいけません。
写真では、おそらくこの圧迫感までは伝わりにくいでしょう。
迫力も、少々の居心地の悪さも含めて、このインスタレーションを堪能していただければと思います。
