木内達朗② 木内さんの朗
- 7 日前
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木内さんのお名前の「ろう」は、郎ではなく、朗です。どこかで、木内さんご自身が念を押しておられたのを記憶しています。たしかに、これは間違えてはいけない。
在廊期間は、大変よい天気に恵まれました。
御影の坂も、阪急沿線の空も、神戸の木々も、少し出来すぎなくらいでした。お名前の「朗」から作品を読もうということではありません。ただ、今回のアクリル画には、明るいだけでは言い切れない明るさがあります。

滞在中にお話しした中で、とりわけ印象に残っているのは、東京と神戸における、イラストレーションや絵画へ向かう教育環境の違いについてでした。BIOMEでも日頃から感じていることがあり、TINY ROUND TABLEを終えたあと、木内さんも近い感想をお持ちなのだと感じました。
絵を描くのが好きな人の、最後の目的は何なのでしょう。
自己満足。人からの賞賛。誰かの手に渡ること。見てもらい、共感を得ること。仕事になること。教えること。続けること。いろいろあります。
ギャラリーにいると、もうひとつ思うことがあります。絵は、見られるだけではなく、誰かの家に持ち帰られたときに、まったく別の時間を持ち始めるのではないかということです。
美術館でもギャラリーでも、照明や設営に配慮された展示は、多くの場合、作品を見るにはよい状態です。こちらもそのために壁を見て、光を見て、作品の高さを見て、時々ひとりで首をひねっています。キャプションや参考資料など、アーティストや作品へ近づくための情報も、会場には用意されています。つまり、展覧会場の絵は、かなり守られた場所にいるのです。
しかし、自宅に飾るとなると、そうはいきません。朝の光で見る日もあれば、夕方の翳りの中で見る日もある。夜の照明で、画面の一部だけが浮いて見えることもある。寝ぼけた目で見たら、昨日と違う作品のように見えることもある。
それです!それが、家に連れて帰ることの醍醐味だと思うのです。
アーティストからも、ギャラリーからも少し手が離れ、作品がその家の時間に入っていく。展覧会場では主役だった絵が、ある日には家具の横にいて、ある日には花瓶の奥にいて、ある日には郵便物の山を横目に見ている。絵にとっては、なかなかの転勤です。

木内達朗の作品は、これまで多くの人の目に触れてきました。本の表紙、雑誌、広告、海外の媒体。絵のほうが、木内さんの名前より先に世の中を歩いてきた、と言ってもよいかもしれません。ただ、その多くはクライアントワークです。
けれど、BIOMEに並んでいる作品は違います。
木内さん自身が描くと決めた新作を主軸とした、西日本で初めての展覧会です。オープンから数日、遠方からのお客様が多くいらっしゃいます。原画を見たかった、と。
木内さんの絵を「見たことがある」人は多いかもしれません。けれど、木内達朗の原画を、いま、実際に選んで、自分の場所に置いてみる機会は、そう多くない、とBIOMEは思います。
ギャラリーの光の中にあった作品が、誰かの家の光に移っていく。
朝、昼、夕方、夜。光が変わるたび、木も、車も、白黒の形も、少しずつ違って見える。
木内さんの「朗」は、名前の話で終わらせるには惜しかったので、作品のそれと交差させてみました。
それぞれの場所でどんな明るさを持ち始めるのか。
そこまで含めて、とくとご覧いただきたいのです。
木内達朗個展「Neighborhood Park」
2026年5月9日(土)〜5月31日(日)
10:00−17:30
最終日:10:00ー15:00
休廊日:水曜・木曜日
