木内達朗① 木内さんの木
- 5月14日
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始まった個展の前日の設営日から神戸に滞在した木内さん。在廊中の木内さんと、御影界隈に出かける機会が数度ありました。
電車を待てば、「ゆっくりしていていいなー」
芦屋川駅が近づいてくると、「身内が住んでいた時期があって、数回来たことがありますよ」
歩けば、川にかかる鯉のぼりの風景をパチリ。こちらが通りすぎてしまうものを、木内さんはわりと拾います。
特におもしろかったのは、とある場所でのこと。
山側を見れば緑葉の桜並木をパチリ。海側を見れば松原をパチリ。
「木が好きなんです。神戸の木は、やはり東京とは違いますね」
関西から見る東京の木は、柳と銀杏のイメージ。では、神戸の木は何でしょう。楠でしょうか。それとも、坂道の途中で急に立派な顔をしている、名前を知らない木でしょうか。

今回の個展「Neighborhood Park」の新作には、たくさんの木が登場します。
ただし、木内さんの木は、図鑑で樹種を当てるための木ではありません。楠です、松です、桜です、というふうには描かれていない。
大きな森のような公園。そこに、車、バイク、自転車、橋、そして白黒のリボンのようなものが置かれている。
木は背景でありながら、背景におさまっていません。
乗り物よりとてもとても大きく、人物より強く、時には画面のほとんどを支配しています。木内さんが神戸で木を見ていたことを思うと、作品の中の木も、少し違って見えてきます。
それから、注目は数点の作品の中には、表面がテラテラと光るものがあります。これはバーニッシュと呼ばれる、ニスに近い仕上げ材を施してあるのです。アクリル絵具自体も耐久性のある画材ですが、バーニッシュには埃や汚れから表面を守る役割があり、種類によっては紫外線への保護も期待されます。
けれど、それだけではないように見えます。
近所の公園。かつてお気に入りだった車やバイク。風景の中を通り過ぎていくもの。それらを最後に一枚の中へ封じ込めるための、薄い膜のようにも見える。
テラテラしている、という言い方は雑かもしれません。でも、実物を見ると、たしかにそのテラテラが効いています。印刷や画面越しでは、このテラテラが掴みきれない。だから今回のアクリル画は、できれば実際に見ていただきたいのです。
絵として見るのと、ものとして見るのとでは、少し違います。壁に掛けたときに残るのは、図柄だけではありません。絵具の表面、光の返り方、木の大きさ、車の小ささ、白黒のかたちの居場所。そういうものが、毎日少しずつ目に入ってきます。
木内達朗の作品を選ぶなら、まず木で選ぶのもよいと思います。
大きな木。黒い木。青い木。森のような木。どこかで見たことがあるのに、どこの木とも言えない木。
うん、それはいい考えだと思います。

そう。
写真をパチリとおさめた木内さんは、
そのあと、飲んだことがないという理由で、いたどり(すかんぽ)のモクテルと、松ぼっくりのモクテルをオーダーしていました。
松ぼっくりを飲む人を、初めて見ました。
匂いを嗅がせてもらえばよかったと、少し後悔しています。
作品も同じで、あとから「あれをもう少し見ておけばよかった」と思うことがあります。
木内さんの木は、会場でお待ちしています。
木内達朗個展
「Neighborhood Park」
2026年5月9日(土)〜5月31日(日)
10:00−17:30
最終日:10:00ー15:00
休廊日:水曜・木曜日
