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戸出雅彦① またお会いできました

12 分前
読了時間: 2分

九谷焼だけれども。


BIOMEを始めた2019年、「8人の酒器展」に参加していただいたのが、戸出雅彦さんとの最初のご縁でした。それから7年。作品を紹介し続けてきましたが、改めて、なぜ戸出さんの作品に惹かれるのだろうと考えています。


九谷焼といえば、華麗な色絵、緻密な文様、時に箔をもちいたゴージャス感、そして長い歴史をもつ伝統工芸です。

戸出さんの作品にも、そうした九谷の技術が確かに存在しています。なかでも市松模様の作品は、器の膨らみやくびれに沿って、四角形が伸びたり縮んだりする。平面では単純に見える幾何学文様が、器という立体を得ることで、思いがけない表情を生み出しています。日本経済新聞にも大きく取り上げられるなど、磁器上で広げられた市松模様の面白さです。



ところが、その同じ作家が、犬の「ジョン」を描くのです。

ジョンは、戸出さんが幼い頃に飼っていた犬。時には作品の主役になり、時には、そこにいて当然という顔で器のなかに現れます。

精緻な文様を描く人が、どうしてこんなにも自由な絵を描を器の上に描くのだろう。

もっとも、これは私たちが勝手に、伝統工芸にはこうあるべきだという規範を持ち込んでいるからなのかもしれません。


戸出さんにとって、市松もジョンも、形と模様と色の組合せから生まれる仕事です。そしてその根底には、九谷焼という技術と、金沢という土地があります。伝統を守ることと、自分の表現をすること。その二つを対立させる必要など、初めからないのでしょう。

とはいえ、それだけでは戸出さんの作品に惹かれる理由を説明できるわけではありません。


何かが美しく、何かがおかしい。整っているのに、どこか予想を裏切る。

その両方を持ち合わせているからこそ、何年たっても飽きずに見ていられるのかもしれません。

11月7日から、BIOMEでは戸出雅彦さんの初めての個展が始まります。

今度は、作品を前にして、その理由をもう一度考えてみようと思っています。





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