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日常での気づき、イベントやアーティストについて触れた日々のメモです。
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宮本敏明② パリへ
宮本さんは、1961年神戸市生まれ。1989年に渡仏し、以後フランスやイギリスなどで活躍。1997年にはイギリス・ジョンコバル財団主催のポートレートアワード'97入賞と略歴には記載があります。 もともと絵画も勉強されていたようですが、写真がアートとして成立し得るのではないか、という問いを持つようになったことが、カメラを用いた表現への関心を深めていくきっかけになったようです。写真は当初、仕事と強く結びついた存在だったと聞いています。 制作と実務の両方に関わりながら写真と向き合うなかで、写真とアートが結びつくまでには一定の時間を要したようです。風景や街の断片を記録するような撮影を行いながら、写真表現の可能性を模索していったと伺っています。 写真集より その過程で、多くの写真作品に触れ、写真が持つ一瞬性や構成の力に強く惹かれていったことが、海外で制作を行ってみたいという思いにつながっていったようです。 パリでの生活や制作を重ねるなかでは、写真を仕事としてではなく、表現として成立させるための試行錯誤が続いていたと聞いています。 また、さまざまな作品や作家
1月15日読了時間: 2分


宮本敏明④ 「つくるひと」へ
Knowing More Aboutで行った宮本敏明さんへのインタビューや、日常の会話から拾い上げたスピンアウト版の声をお届けします。 人物を撮影する流れが再び生まれていったことは、印象的な変化のひとつでした。大阪・本町にある Art Gallery Espace 446 で活動するアーティストたちに自然と関心が向き、写真で向き合ってみたいと思うようになったそうです。 ギャラリーに機材を置かせてもらい、アーティストの顔写真を撮り始めたことも、その延長線上にあったとのことです。 ちょうどその頃BIOMEは、大阪で開催された個展に大きな衝撃を受けました。2026年に中山手での最後の展覧会を控えていたこともあり、その企画を宮本さんに託したいと考え、その思いを打ち明けました。 大阪で発表されていたポートレート展を、BIOMEでも何らかの形で実現できないかと相談し、被写体の選び方や進め方についても、時間をかけて議論を重ねました。 その過程では、宮本さんから厳しい意見をもらうこともありました。 アーティストとギャラリーでは、視点や企画の論点が異なるというこ
1月15日読了時間: 3分


宮本敏明③ 「イカリエ」の頃。ポートレートへの動機
パリでの生活が長期化するなかで、写真への関心が徐々に変化し、取り組む領域も広がっていったとのこと。仕事として人物を撮影する機会が増え、ポートレートを撮影する経験が重なっていったそうです。 その後、仕事量の増加により創作活動を一時的に中断する時期があり、さらに社会全体が大きく揺れたコロナ禍を経て、写真を用いた作品制作へと再び意識が向けられていったようです。 象徴的な風景や建築物を撮影した場合、鑑賞者の関心は、写真作品の場合被写体そのものへと集中しやすい。表現としての写真や撮影者の存在が後景化しやすい側面があります。 対照的に、絵画や他の表現には、意味が即座に確定しない余白が存在します。見る側が立ち止まり、解釈をめぐらせる余地があること。 その想像の過程こそが、作品体験の核心ではないかという考えが、表現の方向性を考えるうえで重要な視点になっているように感じられます。 2023年にBIOMEで発表された個展「イカリエ」では、そうした試みがひとつのかたちとして示されていました。複数の要素を重ね合わせた構成は、鑑賞者に対して、何が写されているのか、どのよう
1月15日読了時間: 2分


宮本敏明① 2026年1月中山手最後のBIOME個展
さて、今回本来であれば、毎年恒例のたからものforおくりもの展覧会の開催なのですが、中山手での営業はこの1月が最後となります。ですから、Special版として宮本敏明氏へ依頼をしました。 それは、彼が2024年大阪のギャラリーエスパス 様で開催したポートレート展があまりにインパクトがあり、あまりにショッキングだったことを記憶していたからです。全く同じものはできないけれども、BIOMEの想いを伝えた上で、彼がまとまあげてくれたのが「つくるひと」と題したポートレート展なのです。 長いあいだ人を撮りながら、どこかで“写真には嘘がある”と思っていました。 モノクロに逃げたり、構図の理屈に寄りかかったり、被写体の力に頼りすぎたり──。 自分の撮る写真の根っこに、なにかをごまかしている感覚がつきまとっていたからです。 気がつけば、アイフォンで撮られた何億枚という写真が日々生まれ、そこには技巧ではないい“ただ生まれる喜び”が宿っている。それなのに、自分は方法論にしがみつき、写真を「こうあるべきもの」と定義しようとしていた。その滑稽さに、ようやく気づくようになり
1月9日読了時間: 2分


1月の人 宮本敏明
写真家、宮本敏明。 彼の口からこぼれ落ちる言葉は、いつも私たちが立っている場所より、少し遠く、そして広い世界に開かれています。経験や知識の量というよりも、長い時間をかけて培われた視線のスケールの違い──そう呼ぶほうが、しっくりくるのかもしれません。 宮本さんは、2023年にBIOMEで個展「イカリエ」を開催しました。30年にわたるパリでの活動を経て、日本へ拠点を戻してから初期の重要な展示でもあり、BIOMEにとっても「写真」という表現を、あらためて捉え直す機会となった個展でした。 準備の過程や、展示をともにつくる時間のなかで感じたのは、絵画や工芸など、これまでBIOMEでご一緒してきた多くのアーティストたちとは、作品の作り込み方や、見せ方の発想が、どこか少し異なるということでした。それは決して優劣やジャンルの違いではなく、「世界とどう距離を取るか」という根本的な姿勢の違いのように思えます。 宮本さんの写真には、強い演出や、見る側を導くための過剰な説明がほとんどありません。モノクロや構図、方法論といった写真表現の常套句に、安易に寄りかかることを避け
1月4日読了時間: 2分


いつだってAlternative. A Way to the New.
このグリーティングに添えた、作品に宿るという「残留思念」という言葉が、2025年を締めくくる今の感覚と、ふと重なりました。 2019年に神戸・下山手で始まったBIOMEは、2026年5月、御影へと拠点を移します。既存のやり方や選択肢があるからこそ、別の可能性を探り続ける。 Alternative. A Way to the New. その姿勢を手放さず、次に向けた調整や選択を重ねています。 どうぞ、穏やかな年末年始をお過ごしください。 ほどなく、次の動きについてご案内します。
2025年12月31日読了時間: 1分


2025年 役に立ったものの話
今年「役に立ったもの」を並べてみようと思いました。 ところが、もっと生産的で、もっと誇らしい何かが出てくるはずかと思ったところ、書き出してみると、どれもこじんまりとしていて、少し照れくさいものになってしまいました。 焼酎・ジン(アルコール) 最初に浮かんだのは、焼酎の 青鹿毛 と、オーストリアのクラフトジン STIN 。いずれも飲食店で知った銘柄。 選んだ理由は単純です。蒸留酒なら、ワインやシャンパーニュの量を増やすよりは、多少なりとも体にやさしいのではないか——そんな浅はかな期待から。合理的かどうかは、実にあやしい。でも「今日はこっちにしておこう」と思える逃げ道があるだけで、少し自分に寛容になれる。 大抵は、どちらもソーダで割ります。柑橘類が必須ではありません。どちらも植物(ハーブや穀類)の香りがふわりと漂います。ソーダを1本いただき、好きな濃度にすれば、酔い方のコントロールまでできるんです。お陰で、すっかり甘さが辛くなってしまいました。 ——いや、どう考えても、これは言い訳ですね。 焼酎:青鹿毛(麦焼酎)柳田酒造(宮崎県) ジン:STIN
2025年12月22日読了時間: 4分


えがしらみちこ 作品のご紹介
12月にご案内している、えがしらみちこさんの個展作品を、一堂にご紹介しましょう。 小さな世界ー花と子どもたちのタイトル通り、低い目線、小さなスポット、小さな仲間、取り巻くささやかな野花たち。どれこれもが、子どもたちにとっての、友人であり、小道具であり、大切な宝物。 水彩画の柔らかいタッチや滲みが、幼い心の揺らぎを美しく表現しています。 また、コラージュにもさらに工夫が加わり、まるで「私のために?」と思わせるような暖かな贈り物のような作品も。 ギャラリー内は、BIOMEお気に入りの合唱音楽を静かに流しています。毎日が幸せな気持ちになる、平和や平穏を願う、そんな思い出ご案内しています。 さて現在、作品のご購入については、ご来廊くださった方を優先にエントリーを受け付けています。そのため、状況によってはエントリー後に、わずかですが作品が残る可能性もあります。その場合はInstagramやウェブサイトでご案内いたします。 まずは今回出展されるすべての作品を、こちらでゆっくりご覧ください。 会場に足を運ぶ前の予習として、あるいは作品と出会うきっかけとして、楽
2025年12月13日読了時間: 3分


12月の人 えがしらみちこ
えがしらみちこさんの、4年ぶりとなる本格的な絵画個展をBIOMEで開催いたします。 2021年の「クリスマスの砂糖菓子」展以来となる本展では、日々の衝動や、目に留まった光景を描き溜められてきた水彩作品が並びます。 その小品群は、仕事としてではなく、ご自身の手の赴くままに描かれた視線の集積と言ってよいかもしれません。 えがしらさんは、絵本作家として広く知られていますが、もともとはイラストレーションを軸とする仲間たちの中で絵画を磨いてこられました。 近年は、出版や物語の枠に依存せず、「描きたいと思う瞬間に描く」ことを大切にされていると伺います。今回の個展は、その営みがギャラリーとしてBIOMEのひとつの空間に集約され、静かに提示される機会となります。 BIOMEがとても好きなえがしらさんの写真。 2021年入手 絵本に登場する子どもや花というモチーフは、可視的な可憐さだけではなく、「形そのもの」「その時の呼吸」を紙面に残すための入口に過ぎないと考えます。 Knowing More About でも、子どもの頬のかたちや、ふと視界に入った花の佇
2025年12月4日読了時間: 3分


Reminiscence in FLUX|時間と記憶をつなぐ 南谷富貴
2025年11月1日から「Reminiscence」と題した南谷富貴さんの個展がスタートしました。古木を用いた立体作品の展示が初めてのBIOMEでは居心地が悪いかも、という不安など払拭されるほど、床に壁にとなじんでくれました。 その個展は2週間を経て、11月15日からは青木岳文さんの白磁との合同展への展開となりました。題して「Reminiscence in FLUX」。 南谷富貴作「残滓2」古材×リキテックス 25×8.5×8.5cm 壁にもかけられるチャーミングな存在 古木と金属という異なる時間を宿す素材は、作家を介して出会いました。いまそれが、BIOMEで初のお披露目となります。鉄のみならず、モルタルや漆喰などが古木と触れ合い、生まれ変わっていく過程を捉えた立体作品がならびます。 特に、金属の作品は古木を抱きしめるだけでなく、まるで作品そのものをやさしく支えてくれているかのようです。鑑賞者を置き去りにすることなく、安心感を与えてくれるはずですよ。 そして、それぞれの素材が触れ合うまでの来歴、作者による制作、そして完成、作品が内包するあらゆる
2025年11月15日読了時間: 2分


Reminiscence in FLUX|白磁がたどる“記憶のかたち” 青木岳文
現在開催中の二人展のお一人、先に個展をスタートした南谷富貴さんの立体作品は、古材。これらがまとってきた時間の澱が、静かな呼吸と心地よい木の匂いとなって漂っています。長いあいだ建材として役割を果たし、風雨にさらされ、手の跡が染み込み、その変化の層そのものが「記憶」として刻まれている。南谷の作品は、その記憶をそっとすくい取るように、新たなかたちへと変換していきます。 その“記憶の変容(FLUX)”というテーマは、青木岳文さんの白磁にも不思議と響き合っています。これはあくまで設営の過程・結果として感じた印象ですが、東京の展覧会で拝見したときから、青木さんの白磁には、作業の積み重ねから生まれる時間が流れ込んでいるように思われました。 スポイトで一粒ずつ置かれた白磁の点の連なりが、一定のリズムを描かれていて、型取りされた直線的な面と並びながら一つの形をつくっていく。そのプロセスには、素材と丁寧に向き合う姿勢が見え、静かな造形の中にも明確な意志が感じられます。 急がず、確かめるように進む方なのだろうという部分と、控えめな印象とは裏腹に、作品への判断やこだわり
2025年11月15日読了時間: 2分


11月の人 南谷富貴
南谷富貴(Fuki Nanya)さんは、アート然とした語り口とは少し距離を置く方です。それはつまり、木を扱うことが「表現の手段」である以前に、すでに日々の営みとして身体に染みついているということなのだと思います。古材を手に取り、削り、組み合わせることが、まるで呼吸のように自然なのです。 個展の前にと、神戸にお越しいただき、ギャラリーをご案内しました。そしてその後、忙しい合間であろう、帰る時間ギリギリまでご一緒しました。イタリアンレストランのカウンターでの一コマ。作品の話だけにとどまらず、話題はいつしか子育てへ。同世代の親として、笑ったり、共感したり、ちょっと寂しい話にうなずいたり――そんなあたたかな時間でした。その姿からは、作品を通して見えてくる「穏やかさ」や「人との距離の取り方」そのものが感じられました。 南谷富貴さん 作品は一見すると静かですが、そこには相当な「荒行」があります。木を切り出し、削り、色を施す。そのひとつひとつの作業が、彼女にとっての祈りのようでもあります。 今回の個展タイトル《Reminiscence(レミニセンス)》は、記憶
2025年10月22日読了時間: 2分


寺井陽子② 彼女の釉薬
BIOMEでの「空のかたち 雲のパヴェ」個展では主に二色の作品として美しく設営されています。その色のことについて、寺井さんが丁寧に教えてくださいました。 そのままご紹介することにしましょう。 「うすいろ」と呼ぶ淡い色味の作品。チタン結晶釉を用い信楽土で手びねり。手跡を削り磨...
2025年10月9日読了時間: 2分


寺井陽子① 彼女の陶
開催中の個展「空のかたち 雲のパヴェ」。初日からファンの方やご興味をお持ちの方々に次々とご来場いただき、誠にありがとうございます。 ご来廊の折には、新作を思い思いに並べてご覧になったり、寺井さんへ質問されたりと、穏やかな談笑が広がるひとときとなりました。...
2025年10月6日読了時間: 2分


ひとりごと 感謝欲について
「感謝欲」。 この言葉について、過去にも触れたことがあるかもしれません。日々の人間関係や仕事の中で、「ありがとう」という言葉や感謝の行動に、私たちは無意識に反応しています。この反応の傾向を「感謝欲」と呼ぶのだと学びました。...
2025年10月2日読了時間: 2分


「旅する版画ー神戸にて」11人の友だち
版画二人展のおひとり、仲紘嗣(なか ひろじ)さんは医師として数冊の書籍を発行されています。 そして、1988年から挑戦されている木版画の作品集もご用意されていました。 1冊を特別にいただき、作品にまつわるエピソードを楽しく、そして時には真剣に読ませていただきました。...
2025年9月14日読了時間: 2分


「旅する版画ー神戸にて」神戸にて
展覧会の初めの三日間は、山下かず子さんのナビゲーションで幕を開けました。 山下さんはとても人懐っこい方で、すぐに周りの心をつかんでしまいます。魅力的に話されるだけでなく、ゲストの方々の声にもたっぷり耳を傾け、ひとつひとつを大切にされるのです。会場には自然と和やかな空気が生ま...
2025年9月14日読了時間: 2分


10月の人 寺井陽子
真っ白ではありません。 寺井さんの作品には、白の中にどこか自然の要素──樹液や、小鳥が落としていった木の実のようなもの──が感じられます。 兵庫県のご出身ですが、現在は漆芸家であるご主人とともに仙台の森の中で暮らしています。 向こう側は沢...
2025年9月8日読了時間: 2分


生きる、ということ。仲紘嗣と山下かず子
2025年8月30日から始まる版画二人展。その会期が近づくにつれ、アーティストとも密にやりとりが重なります。真夏のある日、山下かず子さんから届いた一通のメールは、私の胸を強く打ちました。―それは、ただ展示準備に関する連絡を超え、「生きる」ということの重みと尊さを深く考えさせ...
2025年8月24日読了時間: 2分
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